布・糸・針から生まれた日本の伝承の技針
目の美しさと、ぬくもりに魅せられて、現代のさまざまな生活用品に活かす

飛騨さしこ(刺し子)とは

山深い飛騨は交通が大変不便で、昔は織物等の入手も困難でしたから多くは自給自足でした。そのため綿や麻を糸にして織り、それを自分の手で染める事が女の努めでした。
布に模様を染め抜く技術等は持っていませんでしたので、単色の紺、浅黄、渋茶等の着物を着ていました。若い女の人たちは自分の上着の一部に自分好みの簡単な模様や図案を白糸で縫いつけて用いました。
江戸末期頃には、この風習もすたれましたが、この技が後世商人の風呂敷や柔道着等の補強にも用いられるようになり、いまでもその名残が見られます。
刺し子は布の補強、そして布を大切にしながら、お洒落に身につけるという「生活の中に存在する美術」です。

弊社では、その縫い取りの素朴な美に魅力を感じ、新しく「のれん」や「作務衣」を始めとした様々な作品を制作しております。また伝統の模様や図案だけにとらわれず、伝統とモダンを兼ね揃えた作品も制作しております。

飛騨の民芸品として、また日本の昔から伝わる生活の中の美術品として、ご愛用いただけましたら幸いです。

「用即美」暮らしの中にある芸術、それが刺し子

刺し子作品は「使うのがもったいない」というお客様のお声を頂くことがあります。例えばふきん。手作業で作られる刺し子ふきんは、二つの意味で贅沢品なのかもしれません。ひとつは刺し子の量。もうひとつは、他の工業品と比べた場合、少し割高になってしまう価格。

とても有り難いお褒めの言葉なのですが、刺し子は「用いて即ち美しい」と民芸運動で提唱された、生活の中で使って頂く芸術の一部を担っているのです。

刺し子を施しているから丈夫で、長年使い続けているいただける。
その過程の中で変化する美がある。そんな日本の芸術文化の一部が刺し子なのです。

手から手へ。刺し子の温もりを知ってほしい

ひと針ひと針手縫いの刺し子。おなじ柄や模様を刺した作品であっても、刺す職人によって様々な表情をみせます。力強い刺し子、繊細で綺麗な刺し子。手作りだからこその違いであり、そこに温もりが存在します。

縫製もミシンを使った手作業で行う為、同じ作品であっても実は全て一点モノと言っても過言ではないと信じています。手に取って頂けた瞬間に刺し子の温もりを感じて頂けたらと願いながら...。

手作りが常識の私達だからできる仕事

弊社の刺し子作品の製造には「工場のライン」という概念がありません。
もちろん、同時に多くの作品を作る事で作業効率を上げてお手軽な価格を実現しているのですが、工場のラインがない為、お客様の描くデザインを形にする事が可能です。作務衣やジャケット、のれんやテーブルセンター等、特注のお問い合わせは年間を通して頂いております。

是非、世界に一つだけの作品をデザインしてみませんか?